
森の奥に、木の実をたくさん集めるリスがいました。
春も夏も、リスはせっせと走り回っては、木の実を土に埋めていきました。
「これで冬も安心。これで未来も大丈夫。」
そう言いながら、リスは毎日、数を数えていました。
でも、夜になると、リスの心はざわざわしました。
「こんなに貯めても、まだ足りない気がする。
もっと集めなきゃ。もっと、もっと…」
ある日、リスは木の上で風に吹かれているフクロウに出会いました。
フクロウは目を細めて、静かに風の音を聞いていました。
「ねえ、フクロウさん。
どうしてそんなに落ち着いていられるの?
ぼくはこんなに貯めても、まだ不安なんだ。」
フクロウは羽をふわりと広げて言いました。
「リスくん、不安はね、貯めた量では消えないんだよ。
風を読めば、今どんな季節かがわかる。
そして、どんな準備が必要かも見えてくる。
大切なのは、“今の風”を感じること。
風を読むっていうのはね、今の森がどんな空気かを感じること。
木の実を集めるだけじゃなくて、どう守るか、どう育てるかを考えること。
未来の嵐ばかり怖がっていると、今の風に気づけなくなるんだよ。」
リスはしばらく黙っていました。
そして、土に埋めた木の実の場所を思い出しました。
たくさんある。でも、どこに埋めたか、もうわからないものもある。
「貯めることばかり考えて、風を感じることを忘れてたかも…」
その日から、リスは風の音を聞くようになりました。
木の実を集めることはやめなかったけれど、
「今日は風がやさしいから、少し休もう」
「この風は雨を運んでくるかも。木の実が腐らないようにしよう」
そんなふうに、風とともに暮らすようになりました。
そして、心のざわざわは、少しずつ静かになっていきました。
🍃 そっと添える知恵の葉っぱ:風を読むってどういうこと?
このお話は、“足りない”と感じる夜に読んでほしい物語です。
「風を読む」というのは、
今の季節や変化に気づいて、
木の実の価値や使い方を考えること。
物価の変化や制度のことを知って、
どう備えるかを選ぶことでもあります。
たとえば——
• 物価が上がると、同じ木の実(お金)で買えるものが減っていく
• 貯金だけでは守れないこともある
• 投資や制度(NISA・iDeCo)を使って、木の実を育てる選択肢もある
貯めることより、風を感じることが、心の安心につながるというお話です。