『お金の寓話-感情編③』お金の話を避けるキツネと、静かに聞くモグラ

森の中に、身なりのいいキツネがいました。

キツネはいつも笑顔で、仲間たちと楽しく過ごしていました。

でも、誰かが「お金の話」を始めると、キツネはすっと話題を変えました。

「お金の話は、ちょっと…ね」

「そんなことより、今日の夕焼けがきれいだったよ」

でも、誰も気づいていませんでしたが、キツネの心の中には、

誰にも言えないお金の不安がありました。

貯金は少なく、仕事も不安定。

でも、そんなことを話すと、笑顔が崩れてしまいそうで怖かったのです。

ある日、キツネは森の奥で、静かに土を掘っているモグラに出会いました。

モグラは何も言わず、ただ土の中に耳を澄ませていました。

キツネは、なぜかその静けさに安心して、ぽつりとつぶやきました。

「お金の話って、お行儀が悪いよね…」

モグラは、土の中から顔を出して言いました。

「キツネさん、お金の話って、お行儀が悪いって思われがちだけど、

ぼくはそうは思わないんだ。

暮らしのことを考えるって、とてもまじめで、やさしいことだと思う。

感情をぶつけるのは良くないけど、

落ち着いてお金のことを話したり、聞いたりすることは、生活の安心になるんだ。

逆に、お金の話を避けて、間違った認識のままでいると、将来困るかもしれない。

だから、お金のことを話せない空気のほうが、ずっと重たいんだよ。

ぼくは、聞くことしかできないけど、

それでも、君が話してくれるなら、その重さは、少しだけ軽くなると思う。」

キツネはしばらく黙っていました。

そして、モグラのそばに座って、

「実はね…」と、初めて自分の不安を話し始めました。

モグラは、何も言わず、ただ静かに聞いていました。

その沈黙が、キツネにはとてもあたたかく感じられました。

その日から、キツネは少しずつ、

「お金の話」を避けるのではなく、

「話してもいい場所」を探すようになりました。

🍃 知恵の葉っぱ:お金の話をするのは、悪いことではない

このお話は、お金の話に抵抗を感じて、一人で不安を抱えている人に読んでほしい物語です。

日本では、お金の話をすることが、

どこか「はしたない」「行儀が悪い」と思われがちです。

学校でも、家庭でも、

暮らしの中でお金について話す機会は、ほとんどありません。

でも、話さないまま大人になると、

不安のかたちも、間違った思い込みも、そのまま心の奥に残ってしまいます。

お金の話は、暮らしを守るための、静かな準備です。

正しい知識があれば、

税金や物価の変化にも、少しずつ備えることができます。

身近な人や、信頼できる人と、普段からお金の話をすることで、

不安の輪郭が、少しだけやわらかくなるかもしれません。

モグラのように、静かに耳を澄ませてくれる人や、

話してもいい場所が、あなたのまわりにひとつでも増えますように。

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