ーコスパ・タイパ時代に、遠回りの価値を考えるー
こんにちは。まなびや たぬき堂のたぬきです。
あなたは普段から「損してるかも…」と感じることはありますか?
たとえば─
・職場で一番丁寧に仕事をしているのに、評価されるのは要領のいい人だったとき
・人に親切にしたのに、感謝もされず、むしろ都合よく扱われたとき
・時間をかけて準備したのに、誰にも気づかれなかったとき
・真面目にやっているのに、ちゃっかり立ち回る人の方が得をしていると感じたとき
そんなとき、ふと心の中に「損したな」という言葉が浮かんできます。
「これって、やる意味あったのかな?」
「自分だけ、損してない?」
そんな感情が、静かに心をざわつかせます。
今日は、「損してるかも・・・」という気持ちになったとき、どう考えればいいのかをたぬき堂らしく綴りたいと思います。
損得で考える時代の空気
今の社会は、コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が当たり前のように使われています。
「いかに効率よく、無駄なく、得をするか」が、ひとつの価値基準になっているようです。
情報はすぐに手に入る。
答えは検索すれば見つかる。
最短ルートが正解とされる。
でもその便利さの裏で、私たちは「自分で考える力」や「遠回りする経験」を失っているかもしれません。
遠回りすること。
失敗すること。
時間がかかること。
それらは、効率の悪いことのように見えて、実は「自分の中に力を育てる時間」でもあります。
すぐに答えを求める癖がつくと、答えが出ない状況に耐えられなくなってしまう。
そして、うまくいかないときに「自分はダメだ」と思ってしまう。
効率の良さは、時に「立ち直る力」を奪ってしまうのです。
「収入分の仕事しかしない」という考え方
最近、「収入分の仕事しかしない」という言葉を耳にすることがあります。
それは、「自分がもらっている分だけ働く」という、ある意味では合理的な考え方です。
頑張っても評価されない。
やりがい搾取されたくない。
自分の時間を守りたい。
そんな気持ちから生まれた、静かな抵抗なのかもしれません。
でも、たぬき堂は思うのです。
その考え方が、知らず知らずのうちに「誇り」や「信念」を手放してしまっていないだろうか、と。
誰かのために動いたこと。
見返りを求めずに尽くしたこと。
それらは、すぐに報われなくても、自分の中に静かな灯りとして残ります。
収入以上のことをすることが、必ずしも搾取ではない。
それが自分のやさしさや信念から生まれたものであれば、それは“損”ではなく、“誇り”なのです。
無駄を避けることで育たない力
「無駄なことはしたくない」
「効率よく生きたい」
その考え方は、理にかなっているように見えます。
でも、無駄を避けることばかりを優先すると、育たない力があります。
たとえば──
・柔軟性
・辛抱強さ
・失敗への耐性
・人との関係を築く力
これらは、すぐに成果が見えるものではありません。
でも、生きていくうえで、確かに必要な力です。
「損したくない」と思う気持ちは自然なもの。
でも、その気持ちが強すぎると、“生きる力”そのものを削ってしまうことがあるのです。
自己投資と、すぐに見えない成果
何かを学ぶ。
誰かと関わる。
新しいことに挑戦する。
それは、最初は時間もお金もかかるし、成果もすぐには見えません。
だから「損してるかも」と感じることもあるかもしれません。
でも、そうした経験は、あとになって「自分の資産」になります。
スキルや知識だけでなく、柔軟性や辛抱強さ、人とのつながりも、すべてが自分の中に残っていく。
時間やお金を節約することが悪いわけではありません。
でも、節約ばかりを優先すると──
経験が減り、失敗に弱くなり、人との関係も希薄になってしまうことがあります。
“損したように見える時間”こそが、未来の自分を育てる土壌になる。
たぬき堂では、そう信じています。
自分以外に使う時間とお金の価値
最近は、「自分のためにだけ時間やお金を使いたい」という考え方も広がっています。
コスパやタイパを重視するあまり、結婚や家族を“効率の悪い選択”と見なす人も増えているようです。
でも、家族の愛情は、数字では測れません。
誰かのために時間を使うこと。
誰かのためにお金を使うこと。
それは、損ではなく、他者への愛を学ぶ機会です。
自分以外の誰かに優しくすることで、助けることで、待つことで、人は「自分だけでは完結しない生き方」を知っていきます。
それは、効率とは違う価値。
でも、たぬき堂ではこう考えます。
その“非効率”の中にこそ、ほんとうの豊かさがあるのではないかと。
おわりに たぬき堂からのメッセージ
「損してるかも…」と思うとき、心は少し疲れているのかもしれません。
誰かと比べてしまったり、報われなかったことに傷ついたり。
そんなときは、無理に前向きにならなくてもいい。
まずは、その気持ちをそっと受け止めてあげてください。
そして、たぬき堂はこう伝えたいのです。
遠回りにも意味がある。
”すぐに成果が出なくても、経験は確かに自分の中に残る”
”誰かのために動いたことは、静かな誇りになる”
“損したように見える時間が、未来の自分を育てる”
それは、静かで、誇りある生き方です。
そしてもうひとつ──
遠回りする時間は、無駄に見えるかもしれないけれど、人生に味わいを与えるのは、そんな“無駄な時間”なのだと思います。
コスパやタイパを意識することは悪くないけれど、キチキチと効率だけで埋め尽くすのではなく、”無駄を許す余白を持つこと”。
それが、心のしなやかさや、人とのつながり、そして生きる豊かさにつながっていくのではないでしょうか。
効率だけでは測れない価値が、きっとある。
たぬき堂では、そう信じています。
あなたの選択が、あなたらしいものでありますように。
「がんばりが報われないと感じるときに」という投稿も綴っています。
よかったら、あわせて読んでみて下さい🦝